
私の父の体験談。
父は結婚してから、ずっと現場で働いていた。
電気工事の仕事を主にしていたが、当時は若かったことから電気工事以外の仕事もしていた。
ある日、昔からずっと一緒に仕事をしてきた人が親方になった。
その親方との仕事が入り、説明を聞きに行った。
その親方は私の父を信頼していて頑張ってほしいと念を押されていたとか。
しかし、いくら考えても作業時間が短いのに作業内容が多すぎる…。
確実に期限まで終わるような案件ではなかった。
かつ、父以外は初めて仕事をする人や、経験が浅い人をわざと集めかと思うようなメンバー。
でも、父は責任感が他の人よりも強かった。自分の力で頑張ろうと意気込むほど。
しかし、作業1日目から、明らかにこのペースで終わらないと悟った。
その日から夜勤が始まり、朝8時~朝の3時まで働き、寝る間も惜しんでいた。
その頃は、私はまだ小さかったから、父が家に全然いないイメージが強く、顔を合わせることすらなかった。
その現場は2ヶ月間だったので、前半の1か月が過ぎた頃の父の顔はやつれ、元気のない顔をしていたと母が言っていた。
父は期日に間に合わないと思い込み、不眠症になった。
結果的には、乗り越えて期日まで間に合わせた。
それは、かつてないくらいの喜びだった。
しかし、問題発生。その現場の給料が1円も振り込まれていない。
母も父もそんなはずはないと友人である親方に連絡を取った。
しかし、つながらない。親方の家にも行ったがもぬけの殻。
呆然と立ち尽くすことしか出来なかった。父は親方を探しまわった。
すると、ある事実が…。なんと、彼は色んな現場に飛びお金を払わずに逃げ回っていた。
父もその被害者だった。そして、父は激しく落ち込んだ。
お金が振り込まれていなかったことより、一緒に苦楽を共にしたなかなのに、
最後にこんな仕打ちを受けたほうに落ち込んだ。そして人間不信へ。
信頼していた人からの裏切り。その人は父の一生懸命な性格を知り、利用した。
こんな酷い話はない。2か月みっちり働いたのに…。
そして父は病気になり、入院して療養することになった。
お金が無くなり、働けなくなる人もいた。
私たちの学資保険をはじめ、さまざまな保険を解約したり、お金を親戚等に借りしのんだ。
父もつらい思いをしたが、母も相当辛かったと思う。父のそんな姿を間近に見ていて辛くないはずない。
結局、半年の療養してその後元気に帰ってきて前のように仕事が出来るようになった。
父はその後自分の会社を立ち上げた。小さい会社であったが、
家族のために働き、借りたお金も返し貯金も少しずつ戻ってきた。
そんなある日、インターフォンがなった。出るとあの親方がいた。泣いて謝ったそう。
私も中学生の頃だったからはっきり覚えている。
父は玄関のドアを開けず、インターフォン越しで「帰ってくれ」と言い時折怒鳴っていた。
いつもは、温厚な父が怒鳴っている姿は初めてだった。
最後に「もう2度と見せるな。」と言い追い払った。
父は親方が帰ったあと、少し寂しそうだった。なぜ今更親方はうちに来たのかわからない
。父が言うには、会社をやっているのを聞いてお金をせびりにきたではないかと言っていたが・・・。
私は人に裏切られたことはないが、父の話を聞いた時は胸が張り裂ける思いだった。
どんなに仲が良くても、信頼しても、「お金ですぐに切れる友情って何だろう…。」って考えさせられた。
そのことがあってから、父は私にお金のことではもめるなと常々言っていた。
私自身父の経験を胸に刻んで、お金がらみは慎重に向き合い、
人との関係を崩さないように生活をしている。
正直、両親を追い込んだ親方のことは一生許さない。
これからも、きっと悪事を行い責められ生きていくことでしょう。
私は、どんなことがあっても、今いる友人たちを裏切ったりしないし、大切にしていきたい。
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