35歳の主婦の女性だ。私は、同い年のA子という友人がいた。これは、少し前に彼女が経験した家族の金銭トラブル。
大学を卒業して以来、地元企業でOLとして働いていた。A子は3つの銀行口座を所有していた。
大学時代からのゆうちょ銀行の普通口座、大手年銀行の貯蓄口座、実家の地方銀行の貯蓄口座。
彼女は、26歳で結婚した直後、旦那の転職に伴い、関東へと引っ越した。
彼女の地元は九州の田舎町で、東京へ戻るには飛行機で帰るしかなく、時間とお金がかかる。
A子は関東へ引っ越すときも、「次はいつ帰ってこれるかわからない」と言っていた。
関東での生活が始まり、パートで働き始めた。
A子は、案の定帰省の機会は全くなく、両親とも電話連絡のみ。
数年後、子供が生まれた際にも、A子は実家に通帳を置いていっていた。
約1年後、A子は次第に将来への不安に悩まされるようになった。
夫の仕事の調子が芳しくなく、首都圏でも月給23万円と厳しい収入ラインだった。
A子は育児があったので、パートに出ることが出来ず、夫婦の貯蓄額はなかなか増えなかった。
特に、心配だったのが将来の学費。子供手当を残額貯金に回したが、
それだけでは心もとないと思い、在宅での仕事を始めた。
そして、ふと実家の通帳ごと残した地方銀行の貯蓄口座のことを思い出した。
「お祖父さんの、あの遺産をベースにして子ども手当と
在宅ワーク収入を積み重ねていけば、もっと貯金を増やせるかもしれない」
そして、久しぶりに実家に帰省することにした。待ちに待った帰省。
両親に預かっていた通帳を見ると…衝撃的な数字が記されていた。
A子さんの引っ越し後、ある時300万円という大きな金額が預け入れられていた。
またその後には、約450万円が引き出されて、残額は50万円弱になっている。
「ええっ!?」驚愕したA子さんが慌てて両親にたずねてみると、
父親は「ああ、悪いけど少し借りたわ。」と悪びれずに言いました。
A子さんから通帳を預かってしばらく後、父親は長い事勤めていた地元企業を早期退職し、
かなり高額の退職金を手にしていた。
税金対策として、父親は自分の口座ばかりでなく、
妻とA子さんの個人口座に、この退職金を数百万単位で分散させた。
その後、父方の親戚から相続した土地を有用して賃貸マンションを建てたのですが、
その費用捻出のために、自分が預け入れておいた退職金を引き出した。
父親「元々は俺の退職金なんだから、別に問題ないだろう?」
A子「でも、私がお祖父さんから相続した分の150万円は!?」
父親「少し足りなかったんだよ、心配するな、そのうち家賃収入から返すから。」
A子「どうして、前もってひとこと連絡をくれなかったの!」
銀行口座の名義は、確かにA子だった。しかし、ここでミスをした。
それは銀行用の実印も両親nに預けてしまっていたこと。まさか、両親が娘の財産に手をつけるとは…衝撃だった。
関東に残してきた夫に電話で相談すると、
「他人の手元に通帳と実印を置いて来るお前は大馬鹿だ!そんな泥棒みたいな真似をする人間の所にいないで、さっさと帰ってこい」
と非難されました。
確かに、すでに成人したA子さんの意見を尊重せずに子ども扱いする両親には猜疑心が生まれていました。
夫に電話で相談すると、
「他人の手元に通帳と実印を置いて来るお前は大馬鹿だ!
そんな泥棒みたいな真似をする人間の所にいないで、さっさと帰ってこい」
と非難される始末だった。
その後、A子さんはこの通帳と実印を自分で維持することを決めた。
父親が「借りた分は将来返すと言っているじゃないか。
通帳がなかったら、預け入れができないから置いて行きなさい」
というのを振り切った。
A子さんは「じゃあ、番号を置いていくから振り込みをして下さい」とだけ言い、
子どもを連れて帰宅した。
この地方銀行にはオンライン閲覧制度などがまだ導入されず、A子さんは果たして父親が本当に、
賃貸収入から返済をしているのかどうかは確かめようがない。
電話で聞いてみると「ああ、まだ。そのうち」としか言わないので期待は全くしていない。
150万円分の遺産と一緒に、実家との絆をも失ってしまったと、A子さんは寂しく私に語った。
現在は自分の在宅仕事分の収入を貯蓄し、子どもが大きくなったら外で働く、と健気に言っていた。
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