
自分は現在、36歳の兼業主婦。
失業中の夫と幼稚園児の息子を抱え、何とか毎日ひいこら暮らしてはいる。
それでももうすぐ、夫がどこぞへ再就職してくれたらうれしい限りなんだが…。
そんな自分だが、主婦としては結構優秀なのではないだろうか。
(主婦友達も周囲にいないし、誰も褒めてくれないので自分で褒めている感丸出し)
節約スペックはかなり高い方だと思う。
旦那が薄給取りだった頃には、自分の在宅仕事と一緒にしても月に27万円くらいしか手取りはなかったんだけど、そのうち半分以上の13万円ほどを毎月貯金に回せていた。
今は失業手当に切り替わっているから収入こそはかなり下がったけど、これでもまだずいぶんこの先持ちこたえられそう、っていう自信はある。
後は、いかに自分と旦那が、生活を切りまわしていくぞっていうモチベーションの持続が大切なんじゃないだろうか。
そういう自分は、節約主婦・貧乏人としてのプライドみたいなものを少し持ってもいるんだけど、そこに関係してくるのが自分の母親の影なんだ。反省材料、反面教師として。
自分の実家は関東地方の田舎で、二世帯住宅で同居していた。
祖父母がかなりの金持ちだった。
両親はそこにどっぷり甘える感じで、父親はかなり低所得の会社員だったけど、のんきに生活していたんだと思う。
自分たちのことを低所得層と思う感覚は全くなくて、祖父母のおかげでしかないのにオホホなハイソ・クラスと思い込んでいたんじゃないだろうか。
自分の母親はさらに地方の田舎から出てきた所を父親と結婚したんだけど、何というかコンプレックスを隠そうとして丸出しにしちゃうタイプだったんだな。
若くして母親になったせいでいつまでも子どもっぽさが抜けないし、かといって何かをするのに一人ではできない人だった。
そういう母親は長い間専業主婦をしていたんだけど、田舎の狭い人間関係に飽きたんだろう。
自分が中学生になる手前頃から、近くの図書館でパートの司書として働きだした。
自分も読書大好き女子だったからそれはそれですごくいいこと、本関連で親子の話が尽きないって言うメリットはあったけど、妙な落とし穴があったんだ。
母親のパート仲間の中に、本当にオホホ・ハイクラスの奥様がいたんだ。
この人も本当に本が趣味でずっと働いていたんだけど、そのセレブっぷりは地味にすごかった。
通勤は昔ベンツの今BMWと外車続きだし、ここの図書館司書の制服だった作業エプロンの下にはハイブランドの服を着ている。
一見してはわからないんだけど、これは自分が実際に図書館で目撃したことだ。
(ちなみに母親はこういったブランドの区別がさっぱりつかない)
でもそのハイクラス奥様、性格はすごくよくて母親はじめ同僚とはみんな仲良くしていた。
誰もが、その奥さんのことを好ましく思っていたんだ。
で、その奥さんがいったん某セレブ生協に加入して「これ、本当にいいのよ」と吹聴し始めると、誰もがその言葉に踊らされるようになった。
これは普通のお得な生協じゃなくて、かなり原材料やらにこだわりまくったセレブ生協。
確かにモノは強烈にハイクオリティなんだけど、同時に値段も「冗談だろ」と思えるようなものだった。
通常のスーパーで買える製品の、4倍5倍は軽く行っているものがほとんどだったんだ。
そんなセレブなお買い物ラインナップに近づいたらいけないような生活層なのに…母親はころりと踊らされてしまった。
毎週楽しそうに、カタログを見て注文しているのを横目にしていたけど、当時高校生の自分はその合計値段を見ることはしなかったんだ。
セレブ生協を使ったからといって毎日の食卓が豪華になるかというとそうでもない。
ちなみに母親は料理が下手だ。
普通に地味でまずかった食事が、多少質のよい出来合いの食品に変わった所で、舌が肥えてもいない高校生にわかるわけはないんだよ。
それなのに母親は熱に浮かされてしまった。
「この安全で高品質な食事のおかげで、うちの食生活は向上している!」と思い込み、どんどん高価な食品を購入して毎週の注文を配達してもらっていた。
そして例のパートのセレブ奥様にのせられて、とうとうボランティア役員になってしまった。
そうなるともう、自分でも売り上げに貢献しなきゃいけないから、買い物の量もハンパじゃない。
毎日の仕事に加えてこういう生協役員の仕事も大量にするようになり、かえって冷蔵庫の中で料理しきれない食材が傷んでいくようになった。
ようやく父親が気づいて母親を叱ったんだけど、もう今更引き返せないような所まで母親は足を踏み入れてしまっていたんだよね…。
そういうわけで、毎回実家に帰る度に、自分は大量の食材を引き受けてくる。
賞味期限間近のもの、買ったものの使い道のない保存食、エトセトラ。
冷蔵庫も、定年間近の両親ふたりにはデカ過ぎるだろう、と言う大容量のものを使っているんだけど、これがもう隙間もないほどにギチギチ。
そこを密かに整理して、奥の方で腐っているものを処分するのが、父親に任命された自分の帰省時の使命だ。
本当に勿体ないと思う。
自分は節約に目覚めて、この負のサイクルを自宅では断ち切ることができてすっきりした消費生活をしているけれど、母親は全く理解できていない。
モノに振り回されて購入する時点で満足感を味わって、手元にお金が残らない生活スタイルっていうのは、まさに貯金できない人たちの悪循環だと思うんだけど。
老いた母には今更金銭感覚の教育もできないんだろう。
父親ももう諦めているようだ。
コメント
この記事へのトラックバックはありません。
この記事へのコメントはありません。